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幸せになれる”いい歯”をつくるために

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フランスでは“すきっ歯”のことを「デ・ダン・ドュ・ボヌール=幸運の歯」という。歯のすき間が幸せを呼び込み、強運をひきよせるのだとか。だから歯の矯正があたりまえの国でありながら、すきっ歯だけは治さない人が多い。すきっ歯の代表美人には、ジョニー・デップのかつてのパートナーだったバネッサ・パラディ、そしてフランス暮らしが長いジェーン・バーキンがいる。

実は私も2本の前歯の間が空いたすきっ歯だったが、虫歯になり差し歯にした際にすき間をなくした。その後、フランスで暮らすことになり、幸運の歯のことを知ったとき「治さなきゃよかったな」と後悔したものだ。

というわけで、今回は“しあわせになれる歯”について考えてみたい。

虫歯をつくらない子育て

私は子どもの頃から歯が弱く、すぐに虫歯になるので年がら年中、歯医者に通っていた。そんな私がフランスで子育てをすることになったのだが、小児科医にすすめられたのが“飲むフッ素”だった。

「1日1回、フッ素を飲ませてください。そうすれば虫歯になりませんから」と小児科医は言った。虫歯になりにくいではなく、虫歯にならないと医師は断言したのだ。

こうして、わが娘は新生児から1歳までは液体フッ素、2歳からは錠剤のフッ素を飲み続けた。甘い味なので嫌がることもなく毎日飲んでいた。

もちろんはじめは半信半疑だった。が、乳歯は1本も虫歯になることなく永久歯に生え変わった。フッ素は12歳頃まで飲むのが普通だそうだが、親の歯が弱いということで娘の場合は歯科医のアドバイスで18歳までフッ素を飲み続けた。

そうして、ついに虫歯ゼロのまま娘は成人を迎えることができたのだ。

ドラキュラの歯に悩む

虫歯にはならなかった娘だが、日本人らしく(?)八重歯になった。フランスではすきっ歯は美人と呼ばれても、八重歯は「ドラキュラ」と呼ばれてしまうので、低学年の頃、娘は学校でずいぶんからかわれたようだ。大きくなったら絶対に矯正したいと言っていて、しかし矯正するにはお金がかかるので親としては困った問題だと思い続けていた。

ところが、娘が高校生になった頃から“YAEBA”は「ドラキュラ」から「カワイイ」に変わった! 日本文化をこよなく愛するフランスの若者は、日本の漫画などでYAEBAを知り、コスプレ好きのフランス人は“付けYAEBA”までする時代がやってきたのだ。

かくして、20歳になった娘は八重歯を今のところはキープしている。やれやれ矯正で大金を使うことがなくて助かった、というのが私の本音だ。

ご飯をもぐもぐ咀嚼して歯の老化を防ぐ

さて、私自身は今後は歯の老化との戦いなんだけれども、とても参考になる本に出会った。『噛めば噛むほど幸せになる「歯と老化」の話』(丸茂義二・著インプレス・刊)がそれ。著者は日本歯科大学名誉教授で、日本人は毎日ご飯をもぐもぐ咀嚼することで噛み合わせがよくなり、歯の老化も防げるのだという。

現代の子どもは硬いものを噛まなくなったから歯が弱くなった、また、大人になっても硬いものを噛むのはよいことだと信じている人は多いが、教授によるとそれは違うのだそう。

硬いものは噛んではいけないのです。強く噛んではいけないのです。もぐもぐが重要なんですね。良い噛み合わせを育てる方法は、お行儀よく、正面を向いて、唇を閉じて、和食をもぐもぐもぐもぐと噛むことなんですね。

(『噛めば噛むほど幸せになる『歯と老化』の話』から引用)

日本人は明治時代に世界で最高の身体を持っていたそうだ。歯もとても強かったのに、現代人が弱くなった原因は咀嚼の回数が減ったからだという。

咀嚼回数が多いとなぜいいのだろうか?

1回しか噛まない人は、前歯を使いますね。数回噛む人は、小臼歯まで使いますね。数十回噛む人は、大臼歯まで使いますね。大臼歯まで使う意味があるのですよ。(中略)ご飯はでんぷんですね。でんぷんは唾液の中のアミラーゼで消化されますね。(中略)口の中でご飯をよく噛むということは、ご飯をつぶしてアミラーゼと混ぜる動作をしてるのです。このために、何回も咀嚼することが消化作用をすすめていることになるのです。パンや肉は何度噛んでも意味がないのです。ご飯は、何度も噛むことに非常に大きな意味があるのです。

(『噛めば噛むほど幸せになる「歯と老化」の話。

歯は磨耗してこそ使える!

教授によると日本では歯が磨耗していない若者が増えているそうだ。歯は使ってちゃんとすり減らすことで“食べる道具”として使えるようになり、丈夫にもなるそうだ。

歯は個人差のある顎の中で、できるだけ良い噛みあわせを作るために、はじめは形が決まっていない。歯が生えて一応整然と並んでから、人間は食べる動作に入る。そうして並んでいた歯がすり減って綺麗な噛み合わせになるという二段階の成長になるため、歯が生えてからの10年間が大切になるという。

で、実際どうすればいいかは簡単なこと。

誰でもちゃんとした歯の形を作る方法にはある指標があるのです。それが『お行儀を良くして使う』ということなんですね。

(『噛めば噛むほど幸せになる「歯と老化」の話』から引用)

畳なら正座、イスなら寄りかからない、脚を組まない。食べているときはテレビも新聞も見ない。そしてお茶碗はちゃんと手に持って頭をまっすぐに立てて、もぐもぐと咀嚼をして食べる。

こうすると歯は綺麗にすり減って、噛み合わせがよくなり、子どもならよい歯並びに揃っていくそうだ。

もう遅いとは思わず、今からでも日本人なら、ご飯をもぐもぐして、歯の健康を保っていきたい。おいしいものをいい歯で噛んで食べられることが、いちばんの幸せなのだから。

(文:沼口祐子)

噛めば噛むほど幸せになる「歯と老化」の話

著者:丸茂義二
出版社:インプレス
「よく噛んで食べなさい」と言われたことはありませんか? よく噛んで食べるとなぜいいのでしょう。知っているようで意外に知らない歯並びと噛みあわせの話を、ユニークな講義で歯科学生に大人気の著者が、一冊の電子本にまとめました。「歯はすり減らないほうがいい?」「お行儀が悪いと、歯はすり減らない」「咀嚼回数が多いとなぜいいのか」――日本人の伝統的な食生活や姿勢と切っても切り離せない「正しい噛み方」を学んで、元気に楽しく過ごしましょう!

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