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「アーティスト」ってなんだ?

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「ネイルアーティスト」「ヘアメークアーティスト」「ミュージシャン」「芸術家」「小説家」などなど世の中にはアーティストがあふれています。この中にこっそりと潜む、「自称 アーティスト」たち…たまにテレビのニュースなどで、自称アーティストの○○○容疑者なんて紹介されているのを見ると、悲しい気持ちになってしまいます。

今回は『アーティスト症候群』(大野左紀子・著/河出書房新書・刊)を参考に「アーティスト」について掘り下げて考えてみましょう。

 「アーティスト」の始まりは、1980年代から?

アーティストを辞書で引いてみると、「【アーチスト】芸術家。特に、美術家・(ジャズやポピュラー音楽の)演奏家。アーティスト」(岩波国語辞典より)と掲載されていました。

やはりアートな世界にいる人のことか…と思ったのですが、世の中を見てみると「全米で大ヒット中のあのアーティストがいよいよ来日!」とか「メークアップアーティストたちの中で話題の美容液!」とか「フードアーティスト」や「ジュエリーアーティスト」と、アーティストだらけ! 一体いつから気軽にアーティストと呼べるようになったのでしょうか?

『アーティスト症候群』によると、1980年発売の『美術手帖』から、在ロンドンや在ニューヨークの美術ライターの記事でちらほらと「アーティスト」が使われ始めたと書かれてありました。加えて、ニューウェーブと言われていた人たち(音楽はYMO、漫画では大友克洋など)も、「アーティスト」と呼ばれていたそうです。

当時から「これ!」という定義はなく、美術だけに限らず音楽や、グラフィックデザイン、漫画や様々なカルチャーの中に「アーティスト」が浸透し、「私もアーティストになりたい!」と思う人や「コアなカルチャーの中でアーティストとして活躍したい!」と考える人が増え、サブカルチャーが生まれていったのでしょう。

若い世代の子たちは、今でもアーティストになりたいのか?

現代では、数多くのカルチャーが乱立し、もはや何が「メイン」で、何が「サブ」のカルチャーなのかわからなくなってしまいました。このカルチャーの乱立によって「アーティストになりたい」と考える人が減ったのでは? と思い、現代を生きる若い女子たちに聞いてみることにしました。

美術学校に通う20代前半の女の子に「自分のことをアーティストだと思う?」と聞いてみると、彼女はきっぱり「違います」と答えました。

どうして違うのか聞いてみると、「自分のコレ! と思える作品を作れていないし、私は誰かに欲しいと思ってもらえるものを作りたいから」とのこと。

そして彼女自身も「アーティストになりたい」とは思っていないというのです。彼女の周りでもアーティスト志望の友達は少なく、はっきりとアーティストの定義がされていないため、世間に認められて初めてアーティストになるのでは? とも話してくれました。

また、芸大に通っている子にも「アーティストになりたい?」と聞いてみたところ、「アーティストと聞くと、音楽のイメージが強い。私は商業デザインがやりたいから、アーティストにはなりたくないです」ときっぱり。

2人だけしか聞いていませんが、若い世代のアーティストへの憧れは1980年代と比べると薄れてきており、いつか自分がアーティストになるということよりも、仕事としてアートやデザインと関わりたいと考えている子が多いのだと感じました。時代は流れていますね!

現在の人気は「クリエイター」

1980年代からアーティストに憧れ、アーティストになりたいと思っていた人たちは、現在50歳前後。では、今の世代の憧れはなんなのでしょうか? 『アーティスト症候群』によると、アーティストの次は「クリエイター」だというのです。

クリエイターはアートっぽさも兼ね備えつつ、金儲けにも繋がるおいしい職業と看做されている。

(『アーティスト症候群』より引用)

確かに。

クリエイターは、アニメやウェブなど手に取ることができないものをクリエイトする人だけのことではなく、LINEスタンプを製作し登録するところも「クリエイターズマーケット」と名付けられていますし、成果物の背後にお金があるような印象がありますよね。また、「ものづくり」が好きな女性たちも「クリエイター」と呼ばれ始めていて、今年の春に行われた『minneのハンドメイドマーケット』には3日間の開催で総勢1400名のクリエイターたちが参加したというではないですか!!  クリエイターの定義もアーティストと同様にかなり曖昧なので、これからはクリエイター志向な若者が増えていくのでしょう。あと10年後には、『クリエイター症候群』なんて本がでているかもしれませんね(笑)。

あなたは「何」クリエイターになりたいですか?

(文:つるたちかこ)

アーティスト症候群

著者:大野左紀子
出版社:河出書房新書
なぜ人はアーティストを目指すのか。なぜ誇らしげに名乗るのか。美術、芸能、美容……様々な業界で増殖する「アーティスト」への違和感を探る。自己実現とプロの差とは?最新事情を増補。

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