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ホストに貢いだお金を返してもらいたい。

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ホストに数百万円貢いだ女性がいる。恋人のような気持ちになり、彼をナンバーワンにしたくてかなりの額を注ぎ込んでしまったのだ。しかし、結局そのホストとケンカ別れしてしまい、「貢いだお金を返して欲しい」と嘆いていた。いったいなぜ、彼女たちは自らの意志で注ぎ込んだはずの額を悔やんでしまうのだろう。

悪者と夢

ホストに貢いでしまう女性のニュースは尽きない。その支払いのために、より稼げるアダルトな仕事に身を転じた女性の記事が出ると、多くの人が「そんな悪い男に引っかかるなんて」とホストを反射的に悪者にする。しかし、果たして本当にホストが極悪非道なのだろうか。

私はもう10年以上ホストクラブで楽しませてもらっている。実際のホスト達は、受け身の人がとても多い。彼らはただ、ひたすら女性客の話を聞く。グチでも、身の上話でも、恋の悩みでもなんでも、辛抱強く耳を傾けるのだ。そしておもむろに夢を語り出す。それはいつかは店を持ちたいだったり、海外旅行はここに行きたいだったりいろいろだけど最終的には「そのためにもこのお店でナンバーワンになりたいんだよね」という目標に着地する。

愛と犠牲

ホストに「ナンバーワンになる」という目標があると、女性客にも「彼をナンバーワンにさせたい」という目標が生まれるのかもしれない。その夢を叶えるためにはお金が必要だ。自分の生活費は最低限に、あとはひたすら彼のために稼ぐというハードな日々を送る女性もいるという。生き甲斐ができた女性の顔は不思議と輝いているのだけれど、ひとたび険悪な関係に陥ると、たちまち「あんなに貢いであげたのに。金返せ!」という心境に陥る人がいる。

幸せに目覚める気づきの言葉』(シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカール:著/学研プラス:刊)には「愛する人のためには、犠牲を払ったと感じないものです」という一文が出てくる。これはとても深い言葉だ。蜜月期であれば「彼をナンバーワンにするためなら、お金を注ぎ込んでも惜しくない」という感情が働き、何かを犠牲にしたなどとは思わない。しかしそのホストに憎しみを抱くと「あんなにお金を出さなければ良かった」と損したような気持ちになってしまうのだ。

中途半端な愛

著者のシュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカールさんは、インドの聖人である。インドでは敬称として名前の前にシュリとつけるが、それが2つも付いているのはそれほどに尊敬されているからだそうだ。それもそのはず、彼はノーベル平和賞にもノミネートされた平和活動家なのだ。ストレスフリーな世界を目指し、各国で、呼吸法・ヨガ・瞑想などを用いたプログラムを実施しており、震災時には日本各地でもストレス軽減フリーワークショップなども行っている。

そのシュリシュリさんは「愛する気持ちが中途半端な時は、犠牲を払うことに意味があると思い込んでしまう」と説く。「こんなに貢いで大変だけど、彼をナンバーワンにするためなんだから!」と自分に言い聞かせてしまうのも、愛が中途半端だからなのかもしれない。だとしたら真実の愛があれば、どのような心持ちになるものなのだろうか。

真実の愛とは

本によると、悟っている人は「愛している」とは言わないらしい。その人の存在自体に愛を感じるので、いちいち言葉にはしないのだ。「愛を必要以上に表現すると、すぐに終わってしまう」のだそうだ。「相手に愛情を表現しようとするすべての努力が、問題の原因」なのだとも。いちいち言葉に出さずに密かに想い続けると、その気持ちがいつの日か花を咲かすのだという。

ホストクラブで何百万も投じる際「こんなにお金を出したのだから、その分私のことを愛してよね!」とアピールする女性は少なくない。しかし彼に何もねだらずに、ただポーンとお金を出す女性がいたとしたらそれは確かにカッコいい。そんな女性がいたら、お礼を言おうとホストのほうからテーブルに近づいていくはずだ。インドの聖人の教えは、新宿の歌舞伎町で当てはめてみても、ひどく心に沁みて、納得できるものであった。

(文・内藤みか)

幸せに目覚める気づきの言葉

著者:シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカール
出版社:学研プラス
平和活動家のシュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカール師が世界中の人に伝えている、幸せを手に入れるための知恵を集めたメッセージ集。日々の不安やストレスを乗り越えて、人生を豊かに、楽しく過ごすための工夫が詰まった一冊。

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