ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

はてな村のコンビニ店長が見つめていた「格差」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

いま話題のピケティって「格差」のことらしい。

格差って何だ? 通帳残高や財布の中身の「差」のことだ。近年、さまざまな要因による「経済格差」が話題になっている。ざっと振り返ってみよう。

格差といえば

すこし前までは「非正規雇用」によるものだった気がする。派遣社員。ワーキングプア。正社員との待遇の差をとりあげて「格差社会だ。いかがなものか」と、マスコミがこぞって報道していた。

非正規雇用の話題が一巡したら、つぎは貯蓄や年金受給額にまつわる「世代間格差」に不平の声があつまった。この件にかんしては、マスコミや政治家たちは及び腰だ。なぜだろう? 新聞社の主要購読者層であったり、有権者のうち多くを占める大票田世代だから?

貧乏人を怒らせると怖い。だけど、金持ちなお年寄りを怒らせるのはもっと怖い。マスコミだって政治家だって「経済格差が広がりすぎるのは好ましくない」ことはわかっている。しかし、思いやりや正義感だけではどうにもならないことがある。

ピケティ、格差良くないってよ

そして、2015年。アベノミクスによって「株」長者が増えているせいなのか、ふたたび格差批判の機運が高まってきた。

いわゆる「r>g」だ。資本収益率と経済成長率の不平等。給与所得よりも不労所得の伸び率のほうが大きい。金持ちや地主だけが、ますます豊かになる世の中。いかがなものか。つまり「か●さ広げちゃ、らめぇぇぇっ!」というわけだ。

「大きすぎる格差、ダメゼッタイ」と主張している著書『21世紀の資本』は、全世界あわせて100万部以上も売れているという。

( ゚∀゚)o彡 ピケティ! ピケティ! 世界的な評価を得ているフランス人の教授。この速さなら言えるッ! 「金持ちは、カネを貯めこむのヤメろ」って。

田舎で生まれるということ

どうしても回避することができない、生まれついての不平等がある。「地方格差」だ。

工業も農業も漁業も、ましてやサービス業ですら盛んではない場所。田舎という言葉ではまだ足りない、低所得者と高齢者しか住んでいないさびれた集落。とりあえず教育が受けられる建物はあるけれど、親も教師も熱心ではない。ここで産まれたら、もれなく格差がついてくる。

そんな「構造的な格差」が巣食う土地に、あたらしくコンビニエンストアが開業した。経営者は、店長も兼ねている。『はてなダイアリー』で文章を書いて発表していたことでも有名なコンビニ店長だ。

都会出身のコンビニ店長は、職務上の必要から「地域に住んでいる人たちの生活を血眼になって観察」しているうちに、いままで知らなかった「格差」を発見してしまう。

格差って、見たことあります?(インプレス)という本には、某三大コンビニチェーン現役店長の葛藤が記されている。

格差を「知らない」若者たち

「地元の本屋には大学入試のための参考書はいっさい置いてない」そんな集落にコンビニがやってきた。はじめまして、からあげクン。スーツ姿の客は、ほとんど来店しない。夜になれば「手には明らかに人を日常的に殴っているような擦り傷がある」若者たちの集会場になった。

住民のガラは悪いが、治安は悪くない。みんな顔見知りだから、良くもわるくも行動が抑制される。都会生まれのコンビニ店長から見れば不便なところだが、この場所で生まれ育った若者たちはさしたる不満を感じていない。そもそも、彼らの多くには「格差」の当事者であるという意識がないのだ。

環境は、ヒトを「型」にはめてしまう。田舎に特有な閉塞感と安心感が、若者の可能性の芽を摘んでいるかもしれない。資産への課税など、政府がソロバン勘定を工夫するだけでは解消できない「格差」がある。かならずしも幸せになれるとは限らないけれど「可能性だけは豊富にある」都会からやってきたコンビニ店長は、無力感のあまり怒りをおぼえる。

境遇には個人差がある。それは仕方がない。しかし、教育の不足によって「将来、資産を形成する機会」を与えられないのは公平ではない。日本のどこにでもあるような田舎でコンビニ店長が目撃した、呪いにも似ている「格差」。国家やピケティ頼みではなく、わたしたちが自身が考えて解決していくべき問題だ。

(文:忌川タツヤ)

格差って、見たことあります?

著者:MK2(著)
出版社:デジカル(インプレス)
格差って、見たことあります? 俺はあります。都会にいたときは見えませんでした。なぜなら、都会は雑多な人たちの集合体であり、雑多であることが前提だからです。そこにはなんでもかんでも存在しているので、特に格差を「見る」必要はないわけです。(本文より) 田舎に押し込まれてわかった、俺が見た、もっと隠微で、それでいて明確な格差。彼らは未来を封じられている……。 「impress QuickBooks」(インプレス・クイックブックス)は、通常の書籍の30~90ページ程度の文字数でコンパクトに構成された、スマートフォンで気軽に読める電子書籍です。通勤や通学の車内や昼休みのちょっとした空き時間に、文庫本や新書のような感覚で、多くの人が興味のある旬のトピックについて気軽に読むことができます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事