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人が住む限り、そこには事件が起こるもの・・・

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2年前、息子夫婦がロンドンで暮らすことになった。
まだユーロ離脱の投票が行われる前で、ポンドが高いときだったから、「部屋が見つかるまでホテルにいると破産しちゃう」と、嘆く。若い二人には大変な負担だ。
かといって、私にも余裕がない。
せめてと思い、以前、自分が泊まったことがあるアパート形式のホテルはどう?と、提案してみた。
知り合いが紹介してくれたホテルだが、駅から近く、清潔で、シャワーも台所もあり、何より安い。
不動産屋巡りをするにも便利だろう。

ここは事故物件?

幸い部屋が取れたので、安心して送り出したものの、アパート探しは難航しているようだった。
土地勘もないし、そう簡単にはいかない。
何より、以前、どんな人が住んでいたのか判然としない。
神戸の自宅で一人、気をもみながら「こんなとき、『大島てる』みたいなサイトがあればいいのに・・・」と、私はぼやいた。
よく知られているように、「大島てる」とは、事故物件の情報を提供してくれるサイトを運営する企業およびサイト名のことだ。 かつて、殺人や自殺や孤独死があった部屋は、事故物件として安く提供される。
部屋を借りるにあたって納得していれば、お値打ちだ。
もちろん、知らないままに事故物件を借りてしまうことも避けられる。

「大島てる」には海外版もあったのね

「大島てる」は日本国内に限られるサイトだと勝手に思いこんでいたのだが、それは間違いだった。
ふと思いついて、英語版を見ると、ちゃんと海外の情報も提供されているではないか。
試しに、ロンドンで炎のマークがあるところをクリックすると、「HOMICIDE」とある。
「えっと、なんだっけ、『HOMICIDE』って」と、辞書でひくと【殺人】のことだ。
日本でのマークは自殺が多く、アメリカは驚くほど銃殺や刺殺を示す物件が多い。

ロンドンを観よう!

結局、若い二人には、事故物件をふくめ、不動産に関する情報を何も知らせなかった。
彼らは二人で頑張っている。私などが口をはさむことはない。
何よりも、完璧な不動産などない。
この世はいつもどこかで誰かが亡くなっているものだろう。
自然死もあるが、殺されたケースも多い。火災もある。 いちいち心配していたら、きりがない。
100年前のロンドン』(マール社編集部・著/マール社・刊)は、100年前にロンドンのTHE DESCRIPTIVE ALBUM PUBLISHING COMPANYが出版した"THE DESCRIPTIVE ALBUM OF LONDON"をもとにして編集、復刻したものだ。
今も昔もロンドンは大都会であり、多くの人の憧れの的でもあった。だからこそ、人々はこぞって、ロンドンの案内を眺め、楽しみ、できることならそこへ出かけようとしたのだ。

100年間、何かが起こりっぱなし?

『100年前のロンドン』を眺めていると、タイムトリップしたかのように、100年前のロンドン観光を楽しむことができる。
そして、その一つ一つに「ここではこういう事件があって・・・」と、空想がとまらなくなる。
私が息子たちに推薦したホテルも100年は経っていたはずだ。
大家のマダムも言っていた。「この家はビクトリア朝時代の家を改造したのよ」と。
たくさんの人がたくさんの思いを抱えてそこで生き、そして、死んだのだ。
人間が暮らす場所はどこでも、数々の事件が起こっては消え、消えてはまた起こるものだ。
炎は燃え上がり、消え、また発火するを繰り返す。
今も、そして、これからも・・・。
何かが起こりっぱなし。それが、都市と人生の宿命だと思う。

(文・三浦暁子)

100年前のロンドン

著者:マール社編集部
出版社:マール社
19世紀にロンドンの出版社より刊行された"THE DESCRIPTIVE ALBUM OF LONDON"をもとに編集、復刻。写真は当時の生活風景を見事に写し出し、解説も当時書かれたものをそのまま翻訳した。歴史的な建造物をはじめとして、博物館、美術館、教会、彫像、公園、橋、などの観光スポットを多く紹介した原著は、当時ロンドンにあこがれた多くの人々を魅了してやまなかったであろう。

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