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【ケチ】お賽銭を出したがらないオトコの話

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神社には賽銭箱(さいせんばこ)がある。わたしは50円玉すら惜しいと思ってしまうケチな人間だ。皆さんはどうだろうか。何円なら惜しくないと考えますか?

1円玉ではどうだろうか。ちょっと安すぎる。でも、おカネであることに変わりはない。やっぱりダメな気がする。無意味だ。かえって神様の怒りを買いそうである。

5円玉ではどうだろうか。ご縁がありますように。語呂が良い。縁結び神社のお賽銭ならば5円玉でファイナルアンサーだ。しかし、安産祈願や家内安全を願うにしては安すぎる。

10円玉ではどうだろうか。見た目で却下されるような気がする。ほかの硬貨に比べると色が汚い。茶色っぽい。う◯こと同系色だ。神様に失礼ではないだろうか。

お賽銭の種類~銀色硬貨の場合~

50円玉ではどうだろうか。見た目は悪くないはずだ。銀色に光っている。高級感がある。穴もあいている。駄菓子なら2つか3つ買える金額だ。だからこそ賽銭箱に放り投げるのをためらう。もったいない。

100円玉ではどうだろうか。銀色に光っている。神様だって文句はなかろう。だが、断る。お賽銭に100円も使いたくない。コンビニのおにぎり100円セールのときならば空腹を満たせる金額だ。ためらってしまう。

500円玉ではどうだろうか。銀色に光っている。ズッシリとした重量感がある。日本国における硬貨の最高額だ。何歳になっても500円玉にはワクワクさせられる。コミックを1冊買える。ハーゲンダッツのアイスも買える。500円玉が1枚あれば、小学生ならば豪遊できる。もったいない。本当にあるかどうかもわからないご利益のために500円玉は手放せない。

お賽銭の種類~紙幣の場合~

千円札ではどうだろうか。金額的には申し分ない。だが、態度が気に入らない。何でもカネで解決しようという根性が気に入らない。カネでなんでも買えると思ったら大間違いだ。そうは問屋が卸さない。

二千円札はウケを狙いすぎてダサい。ましてや五千円札や一万円札なんて問題外である。ビッグなご利益を得ようという下心がミエミエだ。けしからん。神様と東京地検特捜部は強欲な者たちをけっして許さない。天罰がくだる。

ここまで述べたのは、ひとりで神社にお参りに訪れたときの心理シミュレーションだ。
ふたり以上のときには、別の心理が働く。

つきあう前、あるいは、つきあいたての恋人が同行しているとき。オトコは見栄を張ってしまいがちだ。好きな子にケチな野郎だと思われたくない。縁結び神社ならば5円玉でやりすごせるかもしれないが、初詣に行ったときには5円玉で済ませるわけにはいかなくなる。最低でも100円以上。「おにぎり買えるのに……」と唇をぐっと噛みしめて、世のオトコたちは賽銭箱に100円玉を放り投げる。男の悲しい性(さが)である。

私設の賽銭箱は許されるのか?

年間100万人の参拝客がいるとする。平均100円としても1億円のお賽銭が集まる計算だ。神社は宗教法人であり、宗教法人が受け取るお賽銭は特定収入という非課税扱いになる。明治神宮(約300万人)、伏見稲荷大社(約270万人)、住吉大社(約230万人)。有名な神社ほど参拝客が多いので賽銭額も多い。しかし、維持管理や修繕などの経費も多いので「丸儲け」というわけではないようだ。

じつは、賽銭箱に関する規制はない。私設の賽銭箱を禁ずる法律がないからだ。つまり、宗教法人でない個人が、勝手に賽銭箱で集金活動をおこなってもokということになる。

安野光雅の異端審問』(安野光雅、森啓次郎・著/アドレナライズ・刊)という本に、賽銭箱にまつわるユニークなQ&Aが掲載されている。
自分の家の前に、賽銭箱をおいてお金を集めてよいか」というものだ。

うまくいけば、こんないい商売はない。そこで、下光家庭共同法律事務所の下光軍二氏弁護士に聞いてみた。

「置くのは自由ですよ。自分の家の前に鳥居を作ろうが、門を作ろうがさい銭箱を置こうが、まったく自由です。たとえば大義名分はなくてもかまいません。そこにお金を入れる人は、お金をあげますという意思表示での贈与と見られるわけですから」

(『安野光雅の異端審問』から引用)

どうりで「賽銭詐欺」なんて聞いたことがないわけだ。ただし、災害や大事故の犠牲者を助けるなどの名目で募金箱を設置したが、じつは私的流用するためだった……これは募金詐欺だ。目的を偽って募金活動をするのは犯罪なので、お間違えのないように。

(文:忌川タツヤ)

安野光雅の異端審問

著者:安野光雅、森啓次郎
出版社:アドレナライズ
下剤と下痢止めを同時に飲むとどうなる? クジラは一年間にどのくらいの量の魚を食べるか? 画家・安野光雅が作りに作った珍問奇問110。答える「異端審問110番」の森啓次郎。審問を手に取材に街へとび出し走りに走る。ナンセンス・なぜなぜ審問と巧妙な解答が笑いを誘う奇想天外問答集。文庫版未収録のイラストを大量追加して電子書籍で復刊!

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