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ビジネスシーンにも使えるスポーツメンタルトレーニング

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リオオリンピックで日本選手が獲得したメダル数は史上最多を更新した。すごい! 大拍手だ!

1964年に行われた東京オリンピックの映像を観ると、当時の日本選手たちは小柄で肉体的には欧米の選手たちと比べると明らかに劣っていた。が、リオの陸上男子400メートルリレーで銀メダルを取った4人などはフィジカル的にも世界と肩を並べていたと思う。日本人はフィジカル面でも急成長したのだ。

さて、フィジカル面が追いついたら、次に鍛えるべきはメンタルだという。アメリカやヨーロッパではプロ、アマにかかわらず広く行われているスポーツメンタルトレーニングを、今後は積極的に取り入れ、選手やチームを強化していこうと考えている団体が日本でも増えているらしい。

あるバスケットボールチームの試み

つくば市にあるアマチュアのアルボラータというバスケットボールチームでは1年前から定期的にスポーツメンタルトレーニングをしているそうだ。このチームには小学生から上は社会人まで約250人が所属している。チームは今年から3人制バスケのプロリーグに参入し活躍中だ。

オーナーはチームを強くするためには何をすればいいかと熟考した結果、メンタルトレーナーを定期的に呼び、グループでメントレを受けることに決めたという。

これは日本の縦型社会の独特のメンタリティがスポーツ場面ではマイナスになるため、クラブ員の意識を変える必要があると考えたからだそう。例えば高校生選手が社会人選手にへりくだるようなことはスポーツシーンではあってはならない。反対もしかりで年長だからといって威張ってはいけない。プレー中は子供だろうが大人だろうがみんな平等であると全員が思い、自由に発言し合い、情報を共有、練習中も試合中もよいコミュニケーションが取れるようになるとチーム力は上がっていくというのだ。

オーナーのこの目論見はピタリと当り、メントレ毎にチームは格段に強化されていくそうだ。

行動と思考を変える

メンタルトレーニングとはどういうもので、何をするのか、その結果どんな効果があるのかをわかりやすく教えてくれる本がある。それが『わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル』(笠原彰・著学研プラス・刊)だ。

本書によると気持ちの切り替えには”行動”が大切だという。頭の中で意識を変えようとしても、あるいは言葉によって勇気付けをしようとしても、実はそれは難しいのだという。

・「自信を持て!」というより、胸を張れ  

・「平常心でいけ!」というより、上を向け

・「集中しろ!」というより、大股で歩け

というように、行動を変えたほうが、メンタル面の強化に効果的です。

そもそも「自信を持て」とか「平常心でいけ」といわれても、具体性がないので、メンタル面を強化しようがないのです。(中略)その点、行動とは具体的なものです。具体的であるということは、

・数値化できる

・指示が明確になる

・やるべきことが明確になる

・誰でも共通して同じことができる

というメリットがあります。

『わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル』から引用

ルーティンで集中力を上げる

リオオリンピック陸上競技の100m、200m、400mリレーで三大会連続の三冠を達成した世界最速のウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は、実はスタートがとても苦手なのだそうだ。

彼はスタート前には必ず祈りのポーズをするが、それはクリスチャンだから十字を切り、人差し指で天を指すというだけではなく、一連のポーズを作る”行動”によって弱さを克服し、集中力を高めているのだ。

一流のスポーツ選手たちが見せてくれるこういったお決まりの動きを”ルーティン”と呼ぶ。

ルーティンは、事前に決めた行動を確実に実行することで、不安や緊張が入る余地がなくなります。いつもと同じ、練習通りにできるようになり、実力を発揮できる可能性が高まります。

『わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル』から引用

イメージトレーニングで技術アップ

どんな時でも、実力を発揮できる理想的な心理状態を保つためには、イメージトレーニングも欠かせない。

過去の自分のベストプレーや、自分の実力で手が届く理想的なプレーなど、「いいイメージ」を何回も思い浮かべることで、ベストプレーの再現性を高めることができます。

『わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル』から引用

いきなり有名選手のプレーを真似しようとせず、最初は自分にできたベストプレーが再現できるようなイメージを描くのがいいという。そうすると、いいイメージによって、いいプレーが実際に出来るように神経回路が形成されていくのだそうだ。

ビジネスマンにもメントレが必要

メンタルトレーニングは感情をコントロールするものではない。感情やそれに対する身体の反応は原始的な脳や自律神経が司っているので、コントロールは難しいそうだ。現実的な解決はその人その人の行動と思考を変えること、それがメンタルトレーニングだと著者は言う。

本書では、Q&A方式で、さまざまなシーンでの悩みを解決する方法をわかりやすく、また実践しやすく解説している。

Q 過去の失敗のイメージが抜けません

A よりリアルなイメージトレーニングで克服できます

Q ミスしたとき、すぐに気持ちを切り替えるテクニックはありますか?

A 視線を上げるなど、自信のある態度を取りましょう

Q 失敗しない目標設定とは何ですか?

A 数値ではかれるものを目標にして、人にチェックしてもらいましょう

Q 他人のアドバイスを素直に聞けません 

A まずは我慢して聞きましょう。他人が知っている自分を知ればチーム力は上がります

など、62の質問とその答えは、スポーツ選手だけでなく、悩めるビジネスマンにも大いに役立つ。

この一冊でありとあらゆる悩みをぶっ飛ばせ!

(文:沼口祐子)

わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル

著者:笠原彰
出版社:学研プラス
スポーツのシーンで度々起こるメンタル面の問題、課題に一発回答!豊富な現場経験を持つ著者が、あらゆる悩みに対して、すぐに解決できる方法をわかりやすく提示してくれる。パフォーマンスアップのヒント満載の、スポーツマン必携の一冊。

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