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幸せな就職・転職を実現させる秘訣とは?

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終身雇用制度が崩壊し、現在の日本においては、新卒時にどの会社に就職したのかということの価値は相対的に低くなってきていると言って差し支えないだろう。このことは、最初に入った会社に定年まで勤め上げる人が少なくなったことを意味しており、よりよい待遇や環境を求めて転職をする人が増えていることの表れでもある。また、労働人口が斜陽産業から成長産業へと移動していきやすいように、雇用の流動化を促進することは、国家の成長戦略としても必要なことだ。

終身雇用制度が崩壊した現在の労働市場の問題点

しかし雇用の流動化の促進は、雇用者側の都合から言えば「解雇のしやすさ」や「労働力の調整のしやすさ」であり、派遣労働者や非正規雇用者を「労働力の調整弁」としているという現実があることも否定できない。2003年の小泉内閣下における労働者派遣法の改正以降、派遣労働者や非正規雇用者が増加した。そして、「同一労働同一賃金」が守られず正社員との格差が広がっていることや、そういった非正規雇用者たちに対する保険や社会保障の不備などのために、彼らが将来に対する不安から長期的な生活設計を立てられないといったことなどが社会問題化している。こういった、多くの若者が安心できる就業環境を得られないことも、若者の草食化や結婚率の低下、少子化などの一因となっている側面は否定できないだろう。

本来なら、専門性の高いスキルを持つ時限的な非正規雇用者が、社会保障や手当などと引き換えにより多くの報酬を得られるのが理想的だが、そうなっているのはごく一部の業種や職種のみで、多くの会社にとっては非正規雇用者を増やすことが単なるコストカットの手段になっているのは間違いない。ただ、このことは本稿の主旨から外れるのでここではこれ以上述べることはしない。

自分の過去を掘り、相手を知り、武器を持つ

さて、そんな現在の日本の労働事情において、就職活動中の人や将来的にキャリアアップしようと思っている人はどのようなことを考えなければいけないのか。労働市場において必要とされる人材となり、自分が希望する業種や職業に就くためにはどうしたらいいのか。その答えと言ってもいい内容が書かれているのが、ここで紹介する広岡一実さんが書いた「キャリアの仕込み方」だ。

「キャリアを仕込む」という言葉はあまり聞きなれないが、広岡さんによると、仕込むとは「何かを得るための準備をする」ことであり、なりたい自分になるために、やりたい仕事をするためにすべきことを総じて「キャリアを仕込む」と表現している。

まず、“自分にとって良いキャリアを手に入れるためには、なりたい自分像をはっきりさせることが必要で、そのためにはまず自分自身のことを誰よりも理解する必要がある”と広岡さんは言う。そのための方法として、“自分の過去を掘る”ことが大事だとしている。

“自分の過去を掘る”とは、自分が過去に興味のあった対象、特にポジティブに活動した対象を思い返し、なぜそれが好きなのか、なぜその活動に没頭したのか理由を考えることで、その対象を深く掘り下げていくことが大切だという。また、そういった対象を二つ以上見つけ出し、同様に掘り下げていくという。

こう書くとちょっとわかりにくいが、同書では広岡さん自身の例で説明している。広岡さんの場合は、サッカーでフォワードをやっていたことと、DJ活動をしていたことを挙げている。そしてここからがとても重要なのだが、その二つ以上の活動に対して共通項を見出す作業を行うのだ。サッカーのフォワードでどのようなことをすることに喜びを感じていたのか、DJ活動のどのような場面に楽しさを感じたのか。それらの共通項を見つけることで、自分がどのような活動に興味を持ち、ポジティブに取り組めるかが理解できるという。

さらに、就職活動中や転職活動中であれば、世の中にどんな仕事があるのかということや、目標となる具体的な業界や企業の情報を知ることも当然重要だ。それは「自分の興味の本質」を「自分の過去を掘った」結果知ることができたとしても、その欲求を満たす仕事を見つけられなければ意味がないからだ。

この作業を行っておけば、例えば「有名企業だから」とか「憧れの業界だから」といった理由で就職したものの、実際に働いてみたら想像と違った、みたいな、いわゆる雇用のミスマッチは起こらないはずだ。

例えば、自分を掘った結果が「人を喜ばせることが好きだ」という方がアパレルショップで販売員を行うと非常に面白くやりがいを感じるかもしれませんが、「自分はなんでもコントロールするのが好きだ」という方がアパレル好きだという理由でショップ販売員を行うと不満だらけになるといった感じ。こういうことが理由で、好きだった何かを嫌いになるという例はよくあります

もちろん、自分のことをよく知り、相手(入りたい企業やなりたい職業)のことをよく知ったからといって、必ず採用されるわけではない。そのためには「自分の武器」を持つことが必要であり、それを相手にメリットだと思わせなければならない。分かりやすく言えば、英検1級レベルの英語力を持っていたとしても、国内でのみ商売をしている企業ではその能力は宝の持ち腐れにしかならないが、その会社がこれから海外展開を検討しているとなれば、話は変わってくるはずだ。つまり、相手が求めている「武器(スキルと言ってもいい)」を持っていて始めてスタートラインに立てるのであり、その「武器」を自分が持っているということを相手に伝えることができるかということが重要なのだ。

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」を実践するための本

有名すぎるくらい有名な言葉だが、孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦して殆(あや)うからず」というものがある。まさにそのまま就職活動や転職活動にも通じる言葉だが、その具体的なプロセスについて分かりやすくまとめられているのが本書だ。しかも内容もコンパクトで、2~3時間もあれば読了できるくらいの分量なのだが、広岡さん自身が何度も転職を繰り返し、その成功体験・失敗体験に基づいて書かれているため、非常に説得力のある内容になっている。これから就職活動を始める大学生や、現在のキャリアに不満を抱えている人にはぜひ読んでもらいたい一冊だ。

(文・芥川順哉)

キャリアの仕込み方 君は面白い仕事に出会えるか?

著者:広岡一実
出版社名:デジカル(インプレス)
新卒で会社選びの全てが決まるわけじゃない。本質を極めれば、どんな業界でも通じる武器ができる!商社からスタートし、業界を変えて転職をしてきた著者が学んだ絶対に折れないビジネスキャリアの作り方! 「impress QuickBooks」(インプレス・クイックブックス)は、通常の書籍の30~90ページ程度の文字数でコンパクトに構成された、スマートフォンで気軽に読める電子書籍です。通勤や通学の車内や昼休みのちょっとした空き時間に、文庫本や新書のような感覚で、多くの人が興味のある旬のトピックについて気軽に読むことができます。

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